早苗とドナルドの初対面

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 10月4日の自民党総裁就任から3週間半、総理大臣就任から僅か一週間、高市氏はトランプ大統領を東京で出迎えた。カメラの前で終始笑顔を保ち、トランプ大統領と要所要所できっちりとアイコンタクトをしている様子が印象的だった。握手の仕方、その他の所作も的確だ。周囲の側近たちの評価は120点だとも言われているようだ。筆者も同感だ。ほとんど準備するような時間もなかったであろうが、自身の素養でアメリカ大統領との初対面をここまで見事に対応し、明るい笑顔で「Japan is Back」と全世界に発信できた政治家は高市氏をおいて他にいまい。

 高市氏は、故安倍首相の後継者だと明確に自身をポジショニングした。「自由で開かれたインド太平洋」と安倍首相時代と同じ言葉を使った。日米同盟の「黄金時代」を作りたいとトランプ氏「黄金時代」の言葉を借用もした。これ以上アメリカ人大統領にとってわかりやすい表現はない。トランプ氏も終始上機嫌だったに違いない。

 昨日の報道を見聞きして強く感じることは、外交は人によって大きく変わるということだ。高市氏は、多くの歴代首相がやっていたような変な心理的な壁を作ることなく、一人の人間としてストレートに友好を表現した。以前の首相で大きな良き例外は安倍氏であった。高市氏もまたこれに続きそうな素質があるらしい。初見でトランプ氏とこれだけ打ち解けた史上初の日本首相。世界の他の国々は、トランプ政権に対する姿勢は様々異なるだろうが、高市氏に益々注目するに違いない。そして、それは外交政策としてとても正しい。

 画像出典:日本経済新聞

 高市氏は、安全保障政策の根幹である日米同盟強化を明確に表明した。米空母ジョージ・ワシントンに乗艦し、兵士たちに丁寧に感謝の言葉を送り、同盟強化を説いた。前例として現職の首相として米空母に乗艦したのは、安倍氏と岸田氏のようだ。しかし、米国大統領と一緒に乗艦し、兵士たちにスピーチした首相は高市氏が初めてであろう。

 2023年に筆者は英国海軍の「連続航行抑止」に学ぶで原子力潜水艦を用いた抑止力を日本は持つべきと論考した。トランプ氏は、高市氏との会談の中でできる協力を惜しまないと発言していた。関税交渉で出てきた80兆円の投資だが、その一部は、潜水艦獲得に使うべきだ。素人計算ではあるが、4隻程度の原潜を取得するのに7~8兆円、保守・維持費用は年3,000億円程度だろう。海上自衛隊の装備としては、抑止力は潜水艦、戦闘力は今やドローン中心の時代だ。高市氏が「ワイズ・スペンディング」と言うのなら、ぜひ考えてもらいた。

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