日本の国債発行残高は、2023年度末に1,068兆円になる見通し。対GDP比で250%を超え、2位イタリアの140%を大きく上回る、世界ダントツ1位のレベルの高さだ。もちろんこれは喜べるような地位でないことは明らかだ。国会は借金幅を増やした予算をいつものように決め、マスコミはいつものことのように報道する。危機感はゼロ。まさに「不思議の国」日本である。
「日本は財政破綻しない。」「デフォルトはしない。」と言われる。理由は、円建てなので仮にお金がなくなったら刷れば良い。また、日本は経常黒字があり、日本国債には信頼がある。日本の総需要は様々な理由で弱いからGDPギャップが存在する。財政がその穴埋めをすることこそが必要とも言われる。そのように言われ続け何年経つのだろうか?そして、いまオールジャパンの2年半の稼ぎ、1,000兆円を超える債務に積み上がった。
財政破綻しない、デフォルトはないから「大丈夫」というのはとんでもない間違いだ。戦時体制ではない平時において、ここまで債務を積み上げた国家は、おそらく歴史上前例がないだろう。最大の課題は今後の金融政策だ。今の超低金利において、国債の利払い費用は、年間で約8.5兆円だ。仮に短期・長期金利平均で1%金利を上げなければならないとしよう。すると1,000兆円の残高の1%、つまり10兆円の利払いが追加されることになる。2%なら20兆円、3%なら30兆円。単純計算だが、そのような規模感で利息がつくということだ。
日本にとっては失われた30年。世界の一定の慣性の中で日本は「平成」な時代だったと報道されている。しかし、コロナ禍とウクライナ戦争で世界の潮流は決定的に変わり、これからどのように展開するのか誰もわからない時代に突入した。5年後、10年後も日本の経常収支は黒字と確証もって言えるのだろうか?数パーセントの普通の金利政策はこれから何十年必要ないとも言えるのだろうか。
金融政策以外の範疇でも、日本にはいまリスク要因は多い。もし、この東アジア地域で有事が発生したら、何であれ財政対応できるのだろうか。南海トラフ地震の発生は?今のように既に大きな借金を背負っているそのまた上に負担を…となれば、本当に辛い話になるんだろうなと感じる。
現政権と現国会は、財政支出についてあまりに放漫な考えになっている。ここまで金をばら撒いてきたので、様々な放漫な前例が習慣化・制度化されつつある。支出先に影響力を持つ族議員や所轄省庁の腐敗も目立ってきた。素人が見ても首をかしげるようなお金の使い方も、これまた平然と粛々とメディアで報道されている。こうした無駄や腐敗をなくすことの効果は債務の巨大さからすれば大海の一滴でしかなかろうが、まずこれをやらなければ、その先についての発想はできないだろう。
本質的な解決策は、あるとすれば次世代の産業政策で付加価値を生み出すことだ。少なくとも30年、実際は50年くらいかかるだろう。成果が出るまでは、国民全体として生活水準の低下を受け入れ精進するしかあるまい。おそらく、そんな日本を脱出、逃げ出す者も多くなるだろう。