サヨナラ石破首相、でも株価はハシャギ過ぎ

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 「今こそがしかるべきタイミング」と言って、石破さんが辞任を発表した。党長老たちに辞任を迫られ、「総裁選挙前倒し要求」というかたちで党内の分断を世間にさらす直前のことだ。こう言えば、どことなくもっともな理由でありそうな感じもするが、決してそうではない。そもそも参院選挙で大敗した直後で辞任すべきだった。

 時が経てば、世間のほとぼりが冷めるとでも考えたのだろう。自分が何をしたいのか表明しないまま、1カ月半もの間、レームダックなのか不明なまま、惰性とも何とも言えぬ中途半端な姿勢で公務をこなした。石破首相の存在自体が「政治的空白」とまで呼ばれる始末だった。

 民意の反映である選挙で負けても留任するなら、政策の大転換、党の大改革、あるいはあっと驚くような連立を行うべきだった。そんな信念も度胸もなかった。国益なんぞより、自分だけの狭い範囲の都合や体面を優先した行動であったと評価されても仕方があるまい。辞任してもらい、ほんとうに良かった。
 
 週明けの株式市場は、熱狂した。9月9日の今日は、ザラ場中で日経平均は一時44,000円をつけた。財政拡大政策への方向転換になるのではないかという市場の期待かららしい。株式市場の特性と言えばそれまでだが、本当にそれで日本経済が良くなったり、株式の本質的な価値が上がるものではなかろう。むしろ、国内物価水準のさらなる上昇、円の購買力低下につながると筆者はみている。

 庶民をいま苦しめている物価高の原因は供給面からくるものだ。いずれも輸入依存であるエネルギー、原材料、食料の価格高騰であり、その大きな部分は円安で輸入価格が高くなった。ここに手を付けないような「インフレ対策」は、ガソリン税軽減であれ、給付金であれ需要を促進するものであり、方向性としてはインフレ亢進的政策だ。

 一方で世界を見れば、米国、英国、欧州、そして日本も含め30年債などの長期金利が上昇を続けていることに危機感をもつ有識者は多い。米国株式の史上最高値や高PERに対して、大きな下方調整を予想する市場参加者も多い。日本の株式市場は、米国市場に直結した動きをする。

 先週末の米国雇用統計が案の定の悪さだったことを受け、FRBの利下げ期待は更に強くなった。ここらへんをきっかけとして、この2,3カ月ボックス圏にあった金(ゴールド)の価格が再び上昇を始めた。1オンス3,400ドル弱だったものが、あっという間に3,600ドルを突破した。

 これだけ不吉な要素が滞留すれば、最後に頼れるのはゴールドということになるのだろう。

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