アメリカ・イスラエルのイランへの攻撃開始以降の最近の投稿を要約した。こうした流れの中で、筆者が予想する日本への影響は、一番良くて半年から一年のスタグフレーション。悪ければ(切はないが)、世界的なde-leveragingで株式と債権の同時暴落。現在を大きく上回る、大幅な円安で日本は購買力低下に苦しむことになるだろう。もちろん、この予想が外れることを願うばかりだ。

現代は、100年前の第一次大戦と第二次大戦の戦間期「危機の20年」に似た、既存秩序の崩壊過程にある。19世紀の英国が過度な軍事介入と財政悪化で没落したように、現代の米国もまた、中東の泥沼化と製造業の空洞化によって、覇権の土台を自ら破壊しつつある。
この危機の特異性は、覇権国アメリカ自身が築いたルールを自ら放棄し、孤立主義と功利主義へ傾斜している点にある。トランプ政権の「剥き出しのエゴ」は、同盟国の不信を買い、かつて軍事力で担保していたドルの信用をも貶めている。さらに、数万ドルのドローンが数百万ドルのミサイルを無力化するような「コストの非対称性」により、軍産複合体が作り上げてきた高度な兵器体系は陳腐化し、物理的な力による支配も限界を迎えている。
この「力の真空」を突く形で、イラン、ロシア、中国による「ユーラシアの要塞」が完成しつつある。特にホルムズ海峡の封鎖は、単なる燃料不足に留まらず、アジアの供給網を直撃する。台湾のエネルギー枯渇による半導体供給停止(シリコン・ショック)や、ヘリウム等の戦略物資の断絶は、現代社会が最も依存しているデジタルインフラを麻痺させてしまう可能性がある。市場は依然として楽観的だが、350兆ドルに及ぶ巨額債務の借り換えが必要な世界の金融システムは、かつての石油ショック時のような利上げによる解決を許さないだろう。
米国は外交的信用を低下させた。また、強大な軍隊を持ちはしながら、同時に莫大な債務をグローバル市場にさらすという致命的な脆弱性を持つ、醜く、いびつな姿をした覇者と化した。イスラエルとパレスチナの「二国家解決」が葬られた中東で、イランは世界経済を人質に取る「チェス」を展開し、米国は場当たり的な「ポーカー」で応じる。私たちは、正義や理念が消滅し、損得と剥き出しの力のみが支配する冷酷な「Gゼロ」の世界、すなわち19世紀的リアリズムへの回帰を強いられつつある。日本は、この帝国の解体過程において、米国への無批判な追随を止め、歴史的洞察に基づいた独自の生存戦略を模索すべき局面を迎えた。
